5月4日、自室で迎えたジャパンカップ
先発エルフーンテラキオンが落とされ、後発も勢いを見せず惨敗だった
部屋に響く自分のため息、思わず呟く「今回は1500台だな」の声
無言で帰り始める参加者達の中、昨年のレート2位ベテは独り部屋で泣いていた
XYレートで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるポケモン・・・
それを今の構築で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」ベテは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、ベテははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベッドの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、起きて構築考えなくちゃな」ベテは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、ベテはふと気付いた
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベッドから飛び起きたベテが目にしたのは、会場外まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにポケモンの対戦BGMが響いていた
どういうことか分からずに呆然とするベテの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「ベテ、試合だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったベテは目を疑った
「ば・・・バンギラス?」 「なんだベテ、居眠りでもしてたのか?」
「ら・・・ランドロス?」 「なんだベテ、かってに夢ランドロスを使用禁止にしやがって」
「ギャラドス・・・」 ベテは半分パニックになりながら選出画面を覗いた
バンギラス ランドロス サーナイト モロバレル ギャラドス ギルガルド
暫時、唖然としていたベテだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
タッチペンを受け取り、対戦台へ全力疾走するベテ、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、ベンチで冷たくなっているベテが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った
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